近畿地区看護協会災害支援活動マニュアル
近畿地区看護協会 災害支援活動マニュアル
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1.目的
近畿地区看護協会は、予想される自然災害(東南海地震、南海地震、台風災害等)による甚大な被害が発生した際、近畿地区災害支援本部長(以下「本部長」という)が必要と認めた場合、地域住民の生命・選考を守るために看護の知識技術を用いて、関西広域連合及び日本看護協会と連携して、迅速かつ適切な災害支援ナースの派遣、又は、受け入れを図ることを目的とする。
2.基本方針
近畿地区看護協会(以下「協会」という)は、平常時より近畿圏内に発生しうる大規模災害に備え、各府県災害対策本部、関西広域連合、日本看護協会、近隣府県と連携を密にし、次の業務について円滑かつ適切な医療救護活動を実施する。
1)災害発生時、近畿地区看護協会災害支援本部の設置
2)災害支援ナースの派遣、調整
3)災害支援ナースの受け入れ
4)災害支援ナースの育成
3.支援方法
カウンターパート方式とする。
[被災府県] 「支援府県」
大阪府 ⇒ 兵庫県 和歌山県
京都府 ⇒ 滋賀県 兵庫県
滋賀県 ⇒ 京都府 奈良県
奈良県 ⇒ 滋賀県 和歌山県
和歌山県 ⇒ 大阪府 奈良県
兵庫県 ⇒ 大阪府 京都府
本部長は、被災状況により、事前に決められた支援対象府県の枠にとらわれず、効率かつ有効な支援が行われるように支援府県を定め、支持する
4.支援対応の区分
災害の規模や被災の範囲によって、次の各レベルで支援を検討する。
1)府県看護協会単独支援対応が可能な場合(日本看護協会の災害時支援対応区分レベル1)
被災した府県看護協会のみで災害時の看護支援活動が可能な場合をいう。被災府県看護協会が単独で災害支援ナースを派遣し、災害時の看護支援活動を実施する。また、被災府県看護協会は、近畿地区看護協会災害支援本部と情報共有、連携を密にとりながら、支援活動を展開する。状況、必要に応じて、近畿地区看護協会災害支援本部は支援を検討する。
2)近畿地区看護協会の支援が必要な場合(日本看護協会の災害時対応区分レベル2)
被災府県看護協会のみでは災害時の支援活動が困難または不十分であり、近畿地区看護協会からの支援が必要な場合をいう。近畿地区看護協会災害支援本部は被災府県看護協会からの支援要請に応じて、必要な支援を行う。被災以外の各府県看護協会に災害支援ナース派遣を要請し、災害支援本部の指示のもと、災害時の看護支援活動を実施する。また、災害支援本部は日本看護協会および関西広域連合等、関係機関・団体と情報共有、連携を密に図りながら、支援を展開する。
3)広域支援が必要な場合(日本看護協会の災害時対応区分レベル3)
被災府県看護協会および近畿地区看護協会のみでは災害時の看護支援活動が困難または不十分であり、当該活動が長期化すると見込まれる場合をいう。近畿地区看護協会災害支援本部は、日本看護協会に応援要請を行い、日本看護協会を通じて近畿以外の都道県看護協会から災害支援ナースを派遣、災害時の看護支援活動を実施する。あるいは関西広域連合を通じて、関西広域連合の一員として支援活動を実施する。
災害支援本部は、被災府県看護協会と情報を共有しながら、効果的な支援を展開する。
5.災害支援本部
このマニュアルに定める業務を円滑に進めるために、協会は兵庫県看護協会に支援本部(以下「本部」という)を設置する。本部長は兵庫県看護協会長がその任に当たる。
但し、本部がその役割が機能しなくなった場合、又本部長がその任を担うことが困難な状況に陥った際は、カウンターパート方式で大阪府看護協会および京都府看護協会が支援することとなっている。大阪府看護協会が被災した場合には、京都府看護協会が支援する。
1)本部の役割
(1)被災地の情報収集
(2)被災地看護協会との連絡・調整
①会員・協会職員の安否確認
②協会建物及びライフラインの確認
(3)人的支援
①災害支援ナースの派遣開始の決定と招集
②災害支援ナース派遣開始から終了までの調整
③被災地派遣災害支援ナースとの連絡・調整
④災害支援ナース活動の安全確保
(4)物品・義援金(支援金)・支援活動に関する費用の調整
(5)災害支援ナースの受け入れ体制
(6)報告様式等の整備、作成
(7)休日、夜間、就業時間外に発生した場合は、緊急連絡網にて連絡を取る。
(8)その後は、本部長の指示・決定に従う。
※兵庫県看護協会の建物が倒壊もしくはその危険性がある場合は、本部長の指示の元に場所の調整を行う。
2)各担当の職務
(1)本部長
①本部の業務統括
②本部の設置及び解散
③関係機関への連絡・報告
④行政緊急会議への出席と連携
⑤マスコミ対応
⑥各府県への役割任命
(2)副本部長
①本部長の補佐及び必要時代行
②支援活動の実務的総責任
③被災府県看護協会との窓口連携
④支援物資協力業者への依頼
(3)総務班
①災害時の総括
②本部の庶務を担当
③救援方法についての確認
④保険加入
⑤財源の確保・運営・管理
寄付金、義援金、支援金の処理
⑥支援終了後の会計処理(旅費支払いを含む)
⑦記録保存
(4)情報班
①情報収集
被災状況の確認 被災府県への道路状況 ライフラインへの確認
通信方法の確認 公共交通機関の運行情報
気象状況 被害状況の情報
②情報提供
知り得た情報を本部へ報告及び被災府県へ情報発信
③情報調整
(5)物資担当班
①災害時に必要な物資の調達・管理
②救援物資のリストの作成
③救援物資の受け入れ及び配分
④支援ナースへの物品の貸し出し・返却の確認
(6)派遣班
①施設への災害支援ナースの派遣要請
②派遣承諾から現地への派遣に至るまでの手続きの処理
③支援活動に関する保障
④災害支援ナースのバックアップ体制
⑤関西広域連合及び日本看護協会との連携
3)本部構成メンバー
本部長:兵庫県看護協会長
副本部長:
各対策責任者(府県):
災害発生府県の看護協会連絡責任者(災害発生府県看護協会長が任命する)
情報班: 物資班:
総務班: 派遣班:
6.災害支援ナースの派遣
1)災害支援ナースとは
災害支援ナースとは、看護職能団体の一員として、被災した看護職の心身の負担を軽減し支えるよう努めるとともに、被災者が健康レベルを維持できるように、被災地で適切な医療・看護を提供する役割を担う看護職のことであり、都道府県看護協会に登録されている。災害支援ナースによる災害時の看護支援活動は、自己完結を基本とする。
2)災害支援ナースの派遣
災害支援ナースの派遣については、災害時支援対応区分に従い、対策本部が調整を行い、本部長が決定を下す。近畿地区内での災害については、支援を含む統括は対策本部が取りまとめ、日本看護協会への報告・連絡は本部長を通して行うこととする。また派遣にあたっては、事前に日本看護協会に連絡を行う。
《派遣手順》
(1)大規模災害で、被災府県看護協会への必要な場合は、被災府県の近隣府県の看護協会が災害支援ナースの派遣等の支援を行う。
(2)近隣府県看護協会の支援に限界がある場合や支援活動が長期はする場合には、本部長の判断により他の都道府県看護協会の支援を日本看護協会に要請する。
3)活動時期と派遣期間
(1)派遣時期
発災後3日以降から1カ月を目安とする
(2)派遣期間
一人の活動期間は原則として、移動時間を含め3泊4日とする。
4)活動場所
原則として被災した医療機関・社会福祉施設・避難所(福祉避難所を含む)を優先する。
5)派遣手順
マニュアルに掲載している手順に従い、災害支援ナースを派遣する。
派遣が終了するまでは、派遣シフト表を含めた派遣状況は法人会員ネット掲示板に掲示する。
7.災害発生時の流れ
近畿地区看護協会災害ネットワークは、日本看護協会の災害支援ナースネットワークに加え、関西広域連合との連携を基に構築される。
1)近畿地区看護協会の場合
災害支援ナース携行必要物品
協会準備物品 | 個人準備物品 | ||
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協会が準備するべき物品 | 寝袋・リュック・ヘルメット・ヘッドライト・キャップ・災害用ベスト・手袋用血圧計・雨合羽・体温計・ステート・ペンライト・はさみ・マスク・ライト付きホイッスル・充電器・ゴム手袋・軍手・充電たまご・ビニール袋・ポケットティッシュ・吸熱シート・記録ノート・携帯ラジオ・手指消毒薬・水・携行食・使い捨てカイロ・トイレットペーパー・紙コップ | 災害支援ナース個人が準備 | 衣類・タオル・ハンカチ・筆記用具・スリッパ・サンダル・服用薬・栄養補給品・紙食器(コップ・箸・皿)・洗面用具・現金・生理用品・うがい薬・絆創膏・サビオ災害支援ナース携行マニュアル・災害支援ナース身分証・会員証・健康保険証のコピー |
災害支援ナースとして望まれる資質
行動力 | 目の前にある事象に対して、まず行動できる |
---|---|
実行力 | 自分の考えや計画を実行に移すことが出来る |
協調性 | チームや周囲や周りとの協力関係が取れる |
人間関係調整能力 | 災害という非日常の環境の中で、看護をスムーズに展開するための精神歴フォローを含めた関係調整が取れる |
リーダーシップ | 自己完結型で展開することや、災害被害者の看護には、リーダー的資質が必要とされる |
臨機応変の対応 | 災害時には予想外の出来事が多く発生するため、その状況に合わせた対応が必要とされる |
主体性 | 指示や要求を待つのではなく、自ら考えて行動する |
心身の健康 | 災害発生の時期によっては、気候の変化、伝染病の発生の可能性、避難所における環境や睡眠・食事などに対応できる肉体の健康と強い精神力が必要 |
看護の専門領域 | 避難所生活支援においては、救急看護やトリアージ、手術室勤務緊急時看護の領域はあまり必要とされないが、内科系看護・慢性疾患看護・外科系看護・精神科看護・地域看護などの知識を広く持ち、活用できるマルチな看護が必要とされる |
判断力 | 日々起こるたくさんの事象に対して看護を展開していくためには、常に「どうするべきかの判断」が要求される |
平成26年7月23日より施行